パターチャーラー

悲しい別れを体験したパターチャーラーという女性がいます。
彼女は、最愛の旦那を毒蛇に噛まれて亡くし、その後すぐに生まれたての赤子を鷹に攫われ、上の子は川で流されて失い、茫然自失で戻った先の実家は嵐でつぶれており、両親兄弟全員が家の下敷きに‥たった二日で、すべての家族を失ったのです。
彼女の心はその苦しみに耐えきれず、半狂乱になってしまいました。
そこへお釈迦さま一同が通りかかります。
半狂乱の彼女の正気を取り戻させたお釈迦さまは、彼女が泣きながら起こった不幸を話すのを黙って聞いています。そして説かれました。
「パターチャーラーよ、案ずることはない。私こそ汝のよりどころとなろう。遠い昔から今まで、子を亡くした親の涙は四つの海の水よりもっと多い。無常の世において子供も父母も真のよりどころとはならない。涅槃の世界こそが真実である」
彼女はその後出家し、修行を積みました。
その厳格な修行は有名で、女性出家者の中でも「持戒第一」と呼ばれました。