人間万事、塞翁が馬

仏教は「一切皆苦」を説きます。これはすべてが苦しみである、という意味ではなく、
自分の思い通りになるものではないという意味です。
自分にとって不幸なことが起こったとしても、それが本当に悪いことではなかったこともありますし、幸福と思ったことが不幸を招くこともあります。
それを表す故事が「人間万事、塞翁が馬」です。
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塞さんというおじいさんが飼っていた牡馬が逃げ出してしまいました。
人々が「お気の毒に・・」と言うと、塞さんは「これが不幸とは限らんよ」と気にしていない様子。
しばらくすると逃げた牡馬が、一匹の雌馬をつれて戻ってきました。人々が「運が良いですね!」と言うと、塞さんは「これが幸福とは限らんよ」と喜んでいません。
それからしばらくして、雌馬を調教していた一人息子が落馬して骨折してしまいました。
人々は「お気の毒に・・」と言うと、塞さんは「これが不幸とは限らんよ」と息子の代わりに仕事に精を出していました。
そのうちに敵国と戦争をすることになり、出兵の要請がありました。戦争により、多くの村の若者が帰ってきませんでしたが塞さんの息子は足を折っていたため戦争に行かず、生き残ることが出来ました。人々は「なんて運の良いこと!」と言うと、塞さんは「人生はこんなものじゃよ」と気にしていない様子でした。
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幸福も不幸も表裏一体。宝くじが当たって不幸になった人もいれば、病気になって幸福を得た人もいます。すべての出来事を仏さまから頂いたモノとしてあるがままに受け入れたいですね。