ソーナ

ソーナは大富豪の家に産まれ、過保護に育てられ外を歩いたことがないせいか、足の裏が柔らかく毛が生えていたそうです。仏陀の教えに感銘を受け、出家し修行に専念したいと奮起したソーナですが、足の裏の柔らかさにより、血が飛び散るほどの厳しい修行を続けていました。
ですがどうしても心の平安を得ることができなかったソーナは「こんなに熱心に修行しているのに悟れない。ならば家に戻って、財宝を楽しみながら布施行をしたほうがいいのではないだろうか」と思うようになりました。
そんなソーナに気付いた仏陀は、こう語りかけました。
《琴の弦を強く張りすぎても、ゆるく張りすぎても良い音は出ない。強すぎず、ゆるすぎない時に良い音が出るのだよ》
《おまえの足は柔らかいから、一重の履き物を履くがよい》
仏陀の説くところがわかったソーナは「私だけではなく、すべての修行者に履き物の許可を下さい」と申し出て、以後すべての修行者には一重の履き物が許可されたということです。