いろは歌の秘密

「いろはにほへと」から始まるこの歌は、全ての仮名の音を使って作られている歌で、なじみの深いものと思います。意外と知らない歌の内容、実は仏教の教えを表しています。
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・色は匂へど 散りぬるを
色美しく香りよく咲く花も、やがては散ってしまう。(諸行無常)
・我が世誰そ 常ならむ
この世に生きる我々も、いつまでも生き続けていられるものではない。(是正滅法)
・有為の奥山 今日越えて
この無常の世界は険しい山のよう、それを今乗り越えて(生滅滅己)
・浅き夢見じ 酔ひもせず
迷いの夢から覚め悟りの世界に至れば、無明の酒(煩悩)に酔うことはない(寂滅為楽)
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これ以外にも、七段にして末語の七文字が「咎(とが)なくて死す」つまり「罪を作ることなく清らかに死んでいく」という意味に。偶然なのか意図されたものなのか、よく分かっていないようです。
またこの歌は平安時代に成立したとされていますが、作者は空海や柿本人麻呂など諸説はあっても未だに不明だそうです。秘密の多い不思議な歌ですね。