お彼岸とは
常に変化し苦しみ多いこの世界を「此岸(しがん)」というのに対し、対極にある苦しみを離れた平安な世界を「彼岸(ひがん)」といいます。煩悩を離れて悟りの境地に至ろうとする仏教思想と、日本の伝統的な先祖供養の信仰が結びついて、祖先の霊を供養する行事となりました。(日蓮宗HPより)
お彼岸の中日である春分・秋分の日は昼と夜の長さが同じ。
この前後含めた一週間を、中道と六波羅蜜(六つの修行)をもって彼岸の岸辺(悟り)を目指す期間としました。
一日目「布施」
布施とは、施しの修行です。見返りを求めずに心から相手のためを思ってする行いのこと。
<修行例>
・一日一善
・身近な人にありがとうを伝える
・募金やボランティアなどをしてみる
・人と会った時に笑顔を心がける など
二日目「持戒」
仏教でのルール「戒律」を守ること。代表的な五つは「殺さない」「盗まない」「不貞行為はしない」「嘘をつかない」「お酒を飲まない」。
<修行例>
・五戒を守る
・自己中心的になっていないか反省する
・ルールを決めてそれをしっかり守る
・規則正しい暮らしをしてみる など
三日目「忍辱」
忍辱とは耐え忍ぶことです。自分を殺して耐え忍ぶのではなく、他のため、自分の成長のために受け入れていく。
<修行例>
・我慢してみる
・困難に思っていることに挑戦する
・怒らないように心がける
・怒っている出来事があったら許してみる など
四日目「中道」お彼岸中日
左右にかたよらず、真ん中にもこだわらないのが中道。
この「中道」を説いた経典に「材木の喩え」があります。

材木が大きな河を流れているものとする。その材木が、右左の岸に近づかず、中流にも沈まず、陸にも上らず、人にも取られず、渦にも巻き込まれず、内から腐ることもなければ、その材木はついに海に流れ入るであろう。この材木のたとえのように、内にも外にもとらわれず、有にも無にもとらわれず、正にも邪にもとらわれず、迷いを離れ、さとりにこだわらず、中流に身をまかせるのが、道を修めるものの中道の見方、中道の生活である
<修行例>
・お墓参りにいって先祖供養をする
・自分を活かしてくれている命に感謝する
・物事の見方が偏っていないか?を確認
・物事を違う見方で観察してみる など
五日目「精進」
精進は「いかなる妨害や障害にも負けず、怠けることなく続けること」です。このように「自らを高めること」を目的とした歩みが精進です。
<修行例>
・運動をする
・掃除をする
・新しいことに挑戦してみる
・ゴロゴロせず時間を有意義に使う など
六日目「禅定」
禅定とは【心が対象に集中して乱されない状態】のこと。
<修行例>
・テレビ、スマホを控える
・座禅、ヨガ、瞑想、写経をしてみる
・良い姿勢を意識する
・体の不調があるなら病院にいく など
七日目「智慧」
智慧とは仏の心(真理)を知ること=さとり。自己中心的な考え方から離れ、真理をハッキリ知る働きのことで、六波羅蜜の修行を心がけていると自然に身についていくものです。
<修行例>
・仏教書を読んでみる
・勉強に励む
・悩んでいることに積極的に向かい合う など
日蓮聖人のことば
日蓮聖人はお彼岸についてこう述べておられます。

このお彼岸の七日のうちに一善の行いを修せば、悟りを開き、仏となれる。他の時節に功労を尽くすよりは、彼岸一日に小善を行えば、大いなる悟りの道に至ることができる。人はだれしもこの彼岸の時節を良く知り、小善をも行うべきである。